校倉造の誤解??

日本の昔の建物は、木造が多いのですが、奈良時代に建てられた「正倉院」は、校倉造で建築され宝物が極めて良好な状態で保存されています。

その理由のひとつが、校倉造の特徴である優れた調湿機能!
湿気が多くなると、木が膨張して木と木の隙間が無くなり、湿った空気を遮断し、湿気の少なくなると木が縮み、隙間ができて風が通り、室内の湿度を一定に保つ、と学校で習いませんでしたか?

しかし、重い屋根荷重がかかる壁が伸縮する余地はなく、調査をしても、そのような現象は認められませんでした!

それでも調湿機能が働いているのは違いありません。

というのも、正倉院の建築材であるヒノキ、あるいは宝物を入れている箱の材であるスギの調温作用、調湿作用が働いているからなのです。
特に箱内の湿度変動は非常に緩やかで、しかもわずかであることが確認されています。

校倉造

<担当者より>
昔、学校で習ったことはなんだったんでしょう!それでもやっぱり木はすごい!!
今回の話は、当社専務の黄瀬の話をきっかけに少し調べてみました。
当社の方と話をしていると木の話を教えてもらうことも多々。 私にとってまさに「木」になる話・・・。
これからも、このコラム欄でご紹介していければと思います。

今回の参考・関連・情報源
◆宮内庁:正倉院ホームページ
http://shosoin.kunaicho.go.jp/
正倉院紀要 第23号短報正倉の温湿度環境調査(成瀬正和) Naruse
第25号 正倉の温湿度環境調査(2)(成瀬正和)Naruse
◆フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 正倉院

校倉造の誤解??” に対して10件のコメントがあります。

  1. momo より:

    はじめまして
    私は正倉の中に入ったことがあります。
    校倉は木の隙間がかなり開いていて内側から見ると光の筋が幾本も見える状態です。床板も固定されておらず下から屋内に持ち上げられる構造になっています。
    調湿は箱の役割が大きいのは確かだとは思いますが、荷重がかかっていて伸縮する余地がないという見解には同意しかねます。

    1. ookochi より:

      コメントありがとうございます。
      私も話を聞いた時信じられず、いくつかの書物を調べてみたところ、やはり重い瓦に抑えられ、収縮する余地は無い、というのが今の定説とのことでした。
      momoさんがご覧になられた隙間は、木材が長い年月をかけて乾燥して収縮した状態だからと思われます。ある程度乾燥しきると、雨の日でも元の大きさには戻らなくなります。
      床が高く、壁も隙間が出来、風通しが良いのは湿気の多い日本にとって、保管には好条件となったと思います。
      正倉院、私も入ってみたいです。

  2. 浜トシコメンター より:

    校倉造は遣唐使によって大陸の建築様式
    の技法が入ってきましたが奈良にある木は
    太く丸太のような細い木がなかったので
    太い木細い木に加工したのです。しかし
    当時はノコギリがなく細い木を切り出せ
    なかった。そこで太い木にくさびを打ち込み
    乾燥させ割ることで細い木をつくったの
    です。だから木の断面が三角なのです。

    1. ookochi より:

      コメントありがとうございます。
      木の断面が三角なのも、当時の製材技術によるものなんですね。薪を割ると三角っぽい、あの形、なるほどです。奈良に太い木ばかりだったというのも知りませんでした。いろいろ教えていただきありがとうございます。

  3. ooke より:

    校倉造りの最大の利点は湿度調整もさることながら室温を低く保つ事だと思う。
    三角の壁の隙間を風が通る事により気圧が下がり風の温度が下がる事で室温を一定以下に保つ。

    校倉造りに学んで造った板倉造りの家とかあるけど利点活かせて無いよねって思う。

    1. ookochi より:

      コメントありがとうございます。
      校倉造りの温度調整機能について、木材の断熱性によるもののみではなく、
      なるほど、すきま風パワーもあるんですね。
      気圧が下がって温度が下がるという仕組み、
      確か、息をハァって吐くより、フゥーっと吹く方が冷たい仕組みですよね?
      隙間、すごい!
      いろんな角度からの話があって、校倉造り、深いですね。面白いです。
      ありがとうございます。

  4. 通りすがり より:

    相手に調子を合わせていい加減な返事を書いておられますが、いったい校倉作りの木組みの間には隙間があるのか、無いのかどっちですねん?長い年月の間に木が乾燥して隙間ができる?なら、日本で一番古い正倉院の木組みは隙間だらけですか?本文に書いてはることと矛盾してますがな。ええ加減な相槌うつのはやめておくれやす。
    書くなら根拠のある事実を書いておくれやす。

    1. ookochi より:

      コメントありがとうございます。
      私の知識不足と語彙力の無さで、、、すみません。

      10年前くらい?2008年に上司に教えてもらった話に、
      皆さんから、教えていただき認識を更新している状態です。

      今の私のまとめとしましては、

      湿気が無いと壁の隙間ができ、
      湿気が多いと壁の隙間が閉じるということは無い。

      今の正倉院は隙間がある。
      これは経年変化で木がやせて、隙間がある。
      そして、梅雨とかで湿気が多くとも、閉じない。

      その隙間が隙間風を作り、温度を一定以下に保ち
      保管に役立っている。

      三角なのは、当時の製材技術によるものである。

      コメントをいただき、わかってきたこと、嬉しく思ってました。
      通りすがりさんが、何かご存知なことあれば
      ぜひ教えて下さい。

      やはり、momo さんみたいに実際見に行きたいです!

  5. ログハウスマン より:

    私はフィンランド製の輸入のログ材を購入し、自分で建てて5年程住んでいます。米国で良く見る
    丸太ではなく、角ログと言われる四角い断面で、両端に切れ込みがあり、校倉と同じ組方になっています。構造的には梁の無い、壁面で構造を支える「面構造」で、正倉院と同じです。5-10年
    間に木材の乾燥、収縮で全体が5-10CM程沈みますが、それからは変わりません。住んで見て
    分かったのですが、組み合わせ部分、正倉院の校倉の部分には僅かな隙間があり、そこから隙間風が入って来ます。また、屋根にも断熱材も使ってますが、日本の湿度に合わせて通気口があります。従って、適度の保温、適度の湿度調整が行われる構造になっています。皆様の記事を読んでいて、正にログハウスは、正倉院と同じコンセプト、機能を備えていると感じています。修学旅行では行きましたが、改めて正倉院を再訪したいと思いました。

    1. ookochi より:

      コメントありがとうございます。
      ログハウスも木と木を組んでいるのは認識してたんですが
      正倉院をログハウスの視点からみたことがなかったので新鮮な印象です。
      確かにログハウスですね・・・。
      世界では住居として、日本では倉庫として利用される建築様式だったという
      ことなんでしょうか?各地の気候や樹種、文化の違いで利用形式が違う、みたいな?
      ログハウスマンさんがセルフビルドで建てられているのもすごいですね!

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